おふろえっちだ!本番はありませんが!
いつもR18がどこまでなのか迷います…。先っちょいれたらもうダメ?白いの出たらアウト??
そしてなんだか後味が微妙に。私のランロイだと、ランディはロイドを崇拝している部分があるので、イロコイも勿論ありますけど、恋愛っていうよりももうロイド絶対主義みたいな(これから先に出てくる当サイトのランディさんがものすごく不安です)。
逆にロイドの方が人間くさくて、すごく情が深いので、自分を律する術を知ってるけど、本当はものすごくランディにいれ込んでる。そんな自分を自覚してて、ちょっと引いちゃってる。みたいな感じです。
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「…お風呂へ直行。今、すぐに!」
帰宅早々、ものすごい剣幕のエリィに命じられ、濡れ鼠のランディとロイドは「ハイ」と大人しく頷くしかなかった。
厚手の毛布を重ねないと寒くて眠れないくらいの季節だというのに、二人して湖に落ちた。正確に言えば、落ちた、ではなく、飛び込んだ、だ。結果だけ見れば同じだが、不注意なのか自らの意思なのかは本人達にとっては大きな意味を持つ。
ランディと二人で赴いたミシュラムでの支援要請を終え、戻る途中、連絡船のデッキ上で酔客同士の喧嘩があり、数名が湖に転落した。それをたまたま乗り合わせたロイド達が救助したのだ。エニグマは防水加工をしてあるため無事だったが、人間の方はそうもいかない。真冬の湖は冷たくて、水に入った瞬間に心臓が竦み上がり、四肢が動かなくなったほどだ。加えて、湾岸地区から支援課のビルまで、北風が吹き荒ぶ中、ずぶ濡れのまま歩いたのがいけなかった。全身が氷のように冷え切り、強張っている。
「早く脱いで、風邪ひいちゃう! ほら、洗濯物は籠に入れて。すぐに洗うから」
「バスタブにお湯を入れました。シャワーを浴びているうちに溜まると思います」
浴室に続く脱衣場へ押し込められ、濡れて張り付いた上着を無理矢理に剥がされる。戸惑う男二人をよそに、エリィとティオは見事な連携で入浴の準備を整えてくれた。しかし、着替えが無い。流石に女性陣に下着まで準備をさせるのには抵抗があり、ロイドは一度部屋へ戻ろうとしたが、彼女達はそれを許してはくれなかった。
「ロイド、何処へ行くの?」
「いや、着替えを取りに」
「大丈夫よ、二人が入っている間に準備しておくから」
立場が逆だったらセクハラになりかねない発言だ。ランディも同じ心境のようで、飽和水量を超えた布を体に纏わり付かせ、寒さに震えながらも困った顔をしている。
「いや、流石に野郎の下着をレディに持ってこさせるっていうのは、ちょっと」
「そんなこと言ってる場合ですか。いいから早く入ってください」
年下の少女にばっさりと切られ、ランディも言葉を失う。それ以上の反論を受け付けることなく女性陣は去ってゆき、二人は諦めてのろのろと服を脱ぎ、風呂場に滑り込んだ。
ランディにシャワーを譲り、ロイドは桶でバスタブから湯を掬って頭から被る。それでもなかなか暖まらず、幾度も幾度も湯を掛け、ようやく指先が感覚を取り戻してきた。
余裕ができて顔を上げれば、もうもうと立ち込める湯気の中に、広い背中と紅の髪が見える。整った横顔もさることながら、無駄のない筋肉が作る美しい体のライン、引き締まった臀部、くやしいくらい長い足。頭の天辺から爪先までを盗み見て、ロイドは改めてランディを綺麗だと思った。
生来のものもあるだろうが、ランディは長袖を着ることが多いため、色が白い。だからそこかしこに刻まれた古い傷跡が目立つ。だがそれは、彼を醜く見せたりはしない。傷を受けた時の彼の痛みとを想像すると苦しくなるが、猟兵としての日々があったからこそ、今のランディがあるのだ。そう考えると、肌に刻まれた痕のひとつひとつにキスをしたくなる。それくらいには彼のことを愛しているし、知りたいと願っている。
(でも、今はまだ、訊くべき時じゃない気がするんだよな)
ロイドが問えば、ランディは話せる範囲で猟団時代のことを離してくれるだろう。それくらい自惚れてもいいはずだ。だが、彼が自ら語りたいというサインを出すまで、ロイドは問い詰めるつもりはなかった。全てを曝さなければ愛し合えないなどと、子供染みた考えで彼を支配するつもりはない。彼の過去に自分が存在しなくても、未来を共に歩めればそれで十分だ。もっとも、事件などでどうしても必要な事態になったら、容赦なく言及するつもりだが。
「こら、そんなに見るなって。照れんだろ」
シャワーの水音に混じって声が聞こえ、ロイドは慌てて視線を逸らした。気配に聡い彼が、こんなにも凝視して気付かないはずがない。羞恥で血の巡りが一層よくなり、ロイドは照れ隠しに立ち上がった。
「俺、もうあったまったから、出るよ」
「おいおい、何恥ずかしがってんだよ。今更だろ」
ぱしり、と大きな掌で手首を掴まれる。振り向かされ、視線が合う。美しい顔に埋め込まれた、美しい碧の双眸は笑っていた。
自分と彼は付き合っている。裸だって何度も見ているし、それ以上に恥ずかしい行為もしているが、こうして甘い情と欲を滲ませて見詰められるのは未だに慣れない。きっとこれからも。
(ランディが格好よすぎるのが悪い!)
褒めているのか、けなしているのかよく分からない文句を心の中で叫び、ロイドは拘束を解こうとする。だが意地悪な恋人はそれを許してくれなかった。ぐい、と腕を引っ張られ、ロイドは彼の逞しい胸に顔を突っ込む羽目になる。
「わっ」
「…まだ、冷たい。よーく、あったまらないとな」
大いに他意を含んだ口調に、弾かれたように顔を上げると、案の定、ランディは笑っていた。次の瞬間、シャワーのすぐ横の壁に押し付けられて、ロイドは声にならない悲鳴を上げる。衝撃よりもタイルの冷たさのせいだ。頭を打たないようにさり気なく腕が回されているところが憎たらしい。苦情を申し立てようと開いた口は、しかし音を出す前に唇で塞がれてしまった。
「んっ…!」
ぬめった舌が歯列を割り、忍び込んで来る。背中は冷たいのに、ぴったりと触れ合った前は暑いほどだ。別の生き物のように器用な男の舌は、ロイドの咥内を好き勝手に蹂躙する。舌を絡め、上顎の裏をなぞられれば、くすぐったさと否定できない快感がはしり、芯が疼いた。戯れではない、情事の時のような激しいキスだ。
「ん、ちょ」
「すぐに熱くしてやるから、さ」
シャワーの水音を縫うようにして囁かれた深みのある低い声に、背筋をぞくぞくとしたものが駆け登る。魔法を掛けられたかのように、ロイドの体温は一気に跳ね上がった。
(まずい)
このままでは流されてしまう。彼と触れ合うのが嫌という訳ではなく、寧ろ自分も望んでいるが、場所が問題だ。
ここは支援課ビルの一階で、建物の中には仲間達がいて、もうすぐエリィとティオが扉一枚向こうにある脱衣場に着替えを持って来る。もし、明らかに男二人だけの密室の中で出るはずのない声が彼女達に聞こえてしまったら。可能性は低いが、いぶかしんで覗かれるようなことがあれば。想像しただけで消えてしまいたくなる。
しかし、リスクが分からないほど愚かではないはずの恋人は、ロイドの思考を飛ばそうとするかのように、キスだけではなく胸まで弄り始めた。指の腹で双丘の頂を押し潰し、摘まみ、捏ね繰り回す。鈍いながらもじわじわと広がる快楽に、ロイドは震えた。
「ふっ、あ」
ランディと抱き合うと、自分がおかしくなってしまう。気持ち良くて、狂おしくて、彼と、彼と交わることで得られる気持ち良さ以外考えられなくなってしまう。己を見失ってしまいそうで怖い。だが、ランディは何もかもが巧みで、ロイドの自制心など容易く押し流してしまう。
(でも、今回ばっかりは!)
ロイドは意を決して制止を掛けた。
「っ、ランディ! やりす、ぎ、だ、ここじゃ、ッ、あ!」
ぐ、と腰を押し付けられて、互いの腹の間で形を変えていた性器がぶつかる。既に硬くなったそれの先端からは、水ではないぬるぬるとした液体が滲み出ていて、生々しいその感触にロイドの頬は熱くなった。ランディは揶揄するように囁く。
「やりすぎ? お前のだって、こんなじゃねーかよ」
「それは、ランディ、が――」
――コンコン。
ドアの向こうから聞こえた確かなノックの音に、ロイドはびくりと体を跳ねさせた。次いで控え目なエリィの声がする。
「ロイド、ランディ。着替え、持ってきたわよ。開けていい?」
その時だった。ぎゅ、と強く自身を握られ、ロイドは喉元まで出かかった悲鳴を辛うじて飲み込む。自分でないなら犯人は一人だけだ。目の前の男を睨み付けると、彼は腹が立つほど綺麗な笑顔を浮かべていた。
「おー、サンキュな、お嬢。そこ置いといてくれ」
「! ぁ…ッ!!」
ロイドはついに吐息を漏らしてしまった。あろうことか、ランディは自分とロイドの肉棒をひとまとめにして擦り始めたのだ。直接的な刺激に、ロイドは目の前にある肩に必死にしがみ付いて、嬌声を噛み殺さなければならなかった。
「? ロイド、どうかしたの? 今、苦しそうな声がしたけど…」
「!」
エリィの心配と困惑が伝わって来る。ロイドは体を強張らせ、唇の動きだけで必死に中止を求めたが、ランディはにやりと口の端を吊り上げるだけで動きを止めない。それどころか一層激しい動きで欲を扱かれ、ロイドは悶えることしかできなかった。
「…!!」
ランディの掌の中で、ロイドのものははち切れる寸前だ。雁首を引っ掻かれでもしたら、先端に爪を立てられでもしたら、きっと自分はあられもない声を出して達してしまう。我慢できる自信がない。
溢れ出した蜜が空気を孕んで掻き回される、粘着質な水音がやけに大きく響く。シャワーの音で掻き消されてくれるのを願うしかない。心臓がばくばくする。汗が滲み出て、息が苦しい。なのに下肢に与えられる悦びはやまない。恥ずかしいのに、気持ちいい。変になってしまいそうだ。
(頼む、気付かないでくれ…!)
「あー、ロイドな、今さっき足滑らせて転んで、悶絶してるから。そっとしといてやって」
自分だってがちがちに勃起しているくせに、ランディは涼しい顔で言う。エリィは騙されてくれたようで、「お大事にね」と言い残し、去って行った。ぱたり、と脱衣場の扉が閉まる音が聞こえるまで、ロイドは生きた心地がしなかった。
「ふー、危なかったな」
何事もなかったかのように呟くランディが憎らしくなり、いっそ殴ってやろうかと右腕を振り上げたが、あっさりと彼に受け止められてしまう。そのままきゅう、と指を絡められ、涙の浮かんだ眦にキスが落とされた。口付けがあまりにもやさしくて、ロイドは言葉を失う。
「ごめんな、ロイド」
その一言だけで許してしまう自分は、きっと甘いのだろう。自覚はある。でも甘やかしたいのだから仕方がない。ロイドは大きく息を吐くと、火照った体を自らランディに擦り寄せた。
「…もう、いいから。早く」
滅多にしないロイドからのおねだりに、ランディは軽く目を見開いた後、嬉しそうに目を細める。ぎゅ、と強く指を握られたかと思うと、愛撫を再開され、ロイドは甘い悲鳴を上げた。
「あ、ッ、ん、あ!」
手足に力が入らない。四肢が戦慄き、ランディに縋らなくては立ってもいられない。浴びる者がいないのに、律儀に温水を吐き出し続けているシャワーの水の礫が跳ね、あちこちに当たる感触が鬱陶しい。もっとランディだけを感じたいのに。他のものなんていらないのに。
「っ、ロイド――」
笠の張った部分を一際強く擦られ、射精感が込み上げる。目の前が真っ白になり、ロイドは勢いよく性を吐き出した。ほぼ同時にランディも熱い迸りを放った。
絶頂を迎えた後の虚脱感から、ずるずると床にしゃがみ込む。ランディと繋いだ右手だけはそのままに。
「っ、悪ィ。大丈夫か?」
膝を突いたランディが、労わるように背中を撫でてくれたが、その間もロイドは絡めた指を解こうとはしなかった。指と指の隙間がないほど、ぴったりと重なった二人の手。それはロイドの理想の形でもある。
(このまま、境目なんてなくなってしまえば、いいのに)
過去を知らなくてもいい、なんて、嘘だ。綺麗事だ。本当は彼の全部を理解したい。それほどまでに愛している。決して告げはしないけれど。
「ロイド」
「…ん」
目を閉じて、降って来るキスを受け入れながら、ロイドは今この瞬間だけは確実に、ランディを独占している喜びに身を委ねた。
END